唐突ですが、参加します!

2006.12.7



Leaderさん主催、men-s6さん協賛の「久住小春ラクルショットセレクション」に唐突ですが、参加します!


この企画を知ってから、参加はともかく、ぼくも自分なりに選んでみようと思っていました。
そして他の方が投票されているのを見て、徐々に候補も絞られてきて、最終的に3枚を決めることができました。
その写真に、今日、コメントをつけてみました。


選んだショットは3枚ですが、どれもいいショットなので3枚とも4点でお願いします。





episode1「懐かしい日々」


わたし、降ろされるかも…。
月島きらりとしてCDをリリースして以来、過密スケジュールの久住小春に、また新しい役のオファーがあった。
限界という二文字がチラついていた。


フラッシュが光り、シャッターが切られる。
「あと一枚!ハイッ!」
スタジオ内は熱気に満ちていた。


昨日、ポストに一通の手紙が入っていた。
それは新潟時代のクラスメートから。
中学校のクラス会のお知らせだった。
派手なダイレクトメールの中で、それはとても慎ましく思えた。


スチール撮影は進んでいた。


一通の手紙には、こう添え書きがしてあった。
「最近がんばってるの知ってるから、とーっても忙しいと思う。でも、わたしは会いたいな」
あの子の声が、耳に蘇ってきた。
「弱虫っ!」
「もうっ!他の人なんか関係ないじゃない!今のあんたなら、大丈夫だよっ!」
「忘れないから」
「小春の夢は叶う。わたし、信じてる」


…ホントはね、震えてるんだよ。今でも
手紙の送り主に向かって、そう言いたかった。


決めた


「久住は、あした新潟に帰ります!」




episode2「12歳の記念写真」


列車の窓から差し込む光があんまりまぶしくって、わたしは台本から目を上げた。
小春日和の下に広がる景色に、雪が解け残っていた。
その途端、胸の中に、いっぱいの懐かしさが広がってきた。


あの日も、ちょうどこんな陽気だった。
昼休みの体育館。
外はまぶしすぎるくらい銀色に光っていた。


わたしは膝に乗せたピンクのバッグから、一枚の写真を取り出し、眺めた。
それは、12歳のわたしの写真だった。


あの日、
「わたし、アイドルになるかも」ってメールで伝えたのに、彼女から返信はなかった。
彼女は、わたしを直接、呼び出したのだ。
この直後に、言われたんだっけ。
「いつも強がっちゃっているけど、小春、あんた、いちばん繊細なくせに…泣いていいんだよ」
故郷を去ることになるわたしの淋しさを、一番理解してくれたのは彼女だった。
そして、絶対ガンバレって応援してくれた。


12歳のわたしを見てたら、こんな日に限って、思い出が次々と沸いてきた。


初めての二人乗り
夢を語り合ったプラネタリウム
思い出の向日葵
突然の雷
海に向かって、みんなでとばした紙飛行機


本当にひさしぶりの思い出ばかりだった。
東京では、こんな感じ、味わったことなかったのに。
ほとんど泣きそうになりながら、写真をまた大切にしまった。


故郷の駅が、近づいてきていた。




episode3「嘘」


「だって、帰ってくるって聞いたのに、小春、ぜんぜん連絡くれないじゃん」
「それは…」
いざとなると、やっぱりダメだった。
あんなに無理して帰ってきたのに、やっぱり照れくささもあって素直に顔を見せられなかったのだ。


海辺はさすがに寒かった。
「病気になるのも、いいもんね。会いたい人に会える」
「なに言ってるのよ!わたしなんて、今朝から何も食べられなかったんだから」
「まあまあ」
「もうっ!今度はわたしが病気になってやる!絶対に風邪ひいてやるぅ!」
「ハ〜。はいはい」
「なによ!今、ため息ついたわね!小春のこと、またバカにしたでしょう」
言ってるうちに自分でもおかしくなって、二人で笑い合った。
夕陽で辺りはすっかりオレンジに染まっていた。


彼女に対して怒ってた気持ちは、すっかり消えていた。
病気だと言ったのは、たしかに嘘だった。学校では嘘はいけないと教えられる。
でも、こんな嘘もあるんだと知った。
彼女は仮病を使ってまで、わたしに会おうとしてくれたのだ。
温かい嘘…そんなこと、学校では教えてくれなかった。


「わたしは小春を見てると、向日葵を思い出すんだ」
肩を並べて海を見ていた彼女が、不思議なことを言い出した。
「向日葵って、いつも太陽の方を向いてるんだよね」
それは、彼女からの「がんばりなよ」というエールだった。
それきり黙って、わたしたちは夕暮れの海を見つめていた。
それは、とっても濃密な「沈黙」だった。
ありがとう。あなたの嘘がなかったら、こんなことしなかったよね。
わたしは、次のキャストに懸けることを、そっと心に誓っていた。


以上です。
コメントが長すぎます。。。
ご迷惑をおかけしますが、お願いいたします。