「ベストカットグランプリ」投票

2006.7.11



悩みました。
って言うのはホントにいい写真ばっかりで。
お気に入りの写真からしぼるのも、そして順位をつけるのも難しく、、、
そして「コメント」に、また今回も悩みました。


さて、写真集部門だけですが、以下のように投票いたします。
koasaさん、よろしくお願いします。




今回は1位と2位のみ投票します。


第2位はこれ!4点でお願いします!

episode1「海は今日も蒼く澄んでいる」
どこからか椅子になるものを運んできて、彼女は海の方に向かってちょこんと座った。
そして、輝く波頭の向こう側へゆっくりと遠ざかっていく船を見送っていた。
ここのところ3日と開けずにやってくる彼女だが、必ず、港に人がいない午後遅くに来るので、このことはぼく以外知らない。
コツコツってかわいい音がしたのでそっちを向くと、彼女がぼくの方にほほえんでいた。
そしてもう一度、コツコツってかわいく隣を叩いて、
「座って」
とぼくに言った。
ぼくはどぎまぎしながら何とか反対側の端に腰掛けたけれど、もう今にも足がつるんじゃないかっていうほど窮屈な姿勢を取っていた。
そんなぼくとは反対に、彼女はいつもの自然な様子で海を見ていた。
「あっ、カモメ」
それは自由に海を渡るカモメを同じくらい、穏やかな口調だった。
彼女は時々、この港にふらっとやってくるのだが、いつもこうやって海を見つめているだけなのだ。
「海…が好きなの?」
やっとのことで、ぼくは彼女と口をきくことができた。
彼女はちょっとびっくりした様子だった。
「あ…、うん。私の大切な友だちのいる国につながってるから」
ぼくは彼女が海を見に来てるのだと思っていた。
「ホントいい天気。なんだか海の向こうまで飛んでけそう」
明るく、そう言う彼女の内面の強さに、ぼくはビックリして彼女の表情を間近で見直した。



そして、第1位はこれ!!!5点でお願いします!!!

episode2「なんで海の水ってしょっぱいの?」
午後の授業を脱け出そうって言い出したのは、たしか彼女からだった。
学年トップを取ったこともある優等生の彼女が…ってひどく意外だったのを覚えてる。
あの時、彼女の肩に、何か白いものがのっかってるように見えたのは本当に、見間違いだったのだろうか。
そのことを今でも時々、思い出す…
「なに?」
無邪気な瞳で見つめられて、ぼくは咄嗟に、ごまかすように辺りを見回していた。
そこはシーズンオフの海の家だった。
春の陽ざしの下で、そこだけは時が止まったかのように、ひどくのんびりとしていた。
まさか、そんなところで「雪」だなんて…。
潮風が強く吹きつけて、彼女の髪を揺らしたとき、ひとひらの雪も一緒に消えていた。


ぼくは今でもあの日を思い出しては、自分の鈍感さを呪っている。
それまでは、彼女が自分の夢を見つけるなんて考えたこともなかった。
控えめで、自分からそんなこと言い出したこともなかった。
ずっとず〜っと一緒にいられるって、なんの根拠もないのに、そう信じて疑いもしなかった。
すべては、ぼくの若さのせいだった。


今ならわかる。
彼女が、その日までなかなか言い出せずに苦しんでいたってことが。
そして、あの日、彼女が授業をさぼってまで海に行こうって言ったのは、ぼくとの最後の思い出が作りたかったんだってことが。